2月15日、「日本の水族館及び動物園を廃止すべきである。是が非か。」を論題としてディベートが行われました。

本日は前回前々回のトーナメントで勝ち上がったチームが戦う準決勝です。
このような流れで2試合行われます。
肯定側立論(3分)→否定側質疑(2分)→否定側立論(3分)→肯定側質疑(2分)→両チーム準備時間(1分)→否定側反駁(2分)→肯定側反駁(2分)

中学2年生の学年の先生達が審査員です。

ディベート大会の運営(下記)、そして準備・片付けは全て生徒によって行われます。
■全体司会進行
■ディベート司会進行
■タイムキーパー
■カメラ・パソコン操作
■審査表の配布・回収・得点集計
■選手誘導
■表彰補助
■残り時間を知らせるボード作成
■試合用PowerPointファイル作成


第一試合・第二試合の立論・質疑・反駁の内容の一部をご紹介させていただきます。
どちらが勝利をおさめたかを予想しながら読んでいただけると面白いと思います。
まずは第一試合です。
否定側はG組、NKB48
肯定側はC組、Big Stone

【肯定側(C組)立論】
「(水族館・動物園でかかる光熱費、餌代や人件費などが金額としては実際どれほどなのかを調べ、)少子高齢化が進む中税金の使い道はこれで良いのでしょうか?」
「同じ場所を歩き回ったり、コンクリートに体を打ちつけるなどの異常行動をする動物達は、自由に生きる権利を侵害されているのではないのでしょうか?」
「災害時、動物が脱走する事例もあり、動物園の存在が人々に危険を及ぼす可能性もあると考えられます。」
「ある動物を保護することで遺伝子が偏り弱個体が出る可能性があること、飼育されている動物の中では野生動物と比べて寿命が半分になってしまうこともあるということは、『動物の権利の世界宣言』に反するのではないでしょうか。」


【否定側(G組)質疑】
・動物の遺伝子によって寿命が変わったりするということでしたが、それは近親交配によるDNAの劣化ということで間違いないですか?
・実際に動物が脱走した原因はなんですか?
・災害時に動物園が脱走するという話でしたが、熊本地震の際、動物園から動物は脱走したのでしょうか?
・水道代などコストがかかることを廃止の理由とするならばコストがかかるものはすべて廃止という方針になるのではないですか?
など、鋭い質問や意見が次々と出てきました。


【否定側(G組)立論】
「世界には3716種の絶滅危惧種がいます。
個体数が少ない為、研究でストレスを与えるということは大問題です。その為、研究する際は自然に近づけた環境を作り研究することが大学や学会などから推奨されています。
本来なら研究用の動物を自前で飼育する必要がありますが、水族館・動物園と協力することで研究機関は研究に専念することができ、動物を絶滅の危機から救うことができるかもしれません。」
「水族館・動物園を廃止してしまうとそこで働いている従業員たちは解雇され、長らく定職につけないという問題も発生します。少しずつ対処すれば良いと考えることもできますが、それは問題の先延ばしにすぎないと考えます。」


【肯定側(C組)質疑】
・研究している動物は公開しているのか?
・廃止するのと残すのとでは、どちらが税金がかかるのか?

【両チーム準備時間】

【否定側(G組)反駁】
「構造物を変える、複数の遊具を設置する、食事に工夫が必要な仕組みをつくる、などの対処により動物の異常行動を大幅に減らしている動物園もあり、動物のストレスは工夫次第で改善できると考えられます。」
「ある動物園では、コスト面の対策として、Amazonほしい物リスト・YouTubeメンバーシップ・クラウドファンディング・募金などによって将来的には赤字が黒字に転じるという見方もあるのではないでしょうか。」
「デメリットがあるからすぐに廃止するのではなく、デメリットをどうやって改善していくかということが大切なことではないのでしょうか。」
と廃止反対の主張しました。

【肯定側(C組)反駁】
「廃止する方がコストがかかるという主張があったが、持続するという長期的な目でみるとやはり廃止する方がコストはかからないのではないでしょうか。」
「災害時の動物の脱走の事例は多くないが、太平洋戦争の時に脱走すると危険である為たくさんの動物を殺処分したという事例はあります。」
「動物園に税金が使われることによって、私達の負担する消費税などがあがる可能性もあるのではないでしょうか。」
ここで第一試合の終了です。

続いて第二試合です。
否定側はF組、ひろゆきっず乙
肯定側はG組、シン・ゴリラ
こちらの試合も、どちらが勝利をおさめたかを予想しながら読んでいただけると面白いと思います。

【肯定側(G組)立論】
「水族館・動物園では生き物が人間の娯楽になっていると考えます。芸をすると餌がもらえるというシステムは、生きる為に芸をしなければならないということでもあり、自由が尊重されてないと言え、動物の権利世界宣言第5条に反するのではないでしょうか?」
「エンリッチメントなどの政策が進められて一見快適な環境がつくられているのではないかと思われますが、大草原や大海原で生活する動物にとって狭い環境で生活するということは大きなストレスとなります。イルカは本来群れで生活する習性を持っていますが、水族館では家族と離されストレスが溜まり、攻撃的になったり病気にかかったり自傷行為もあらわれます。」
「もともと個体数の限られた動物で交配を繰り返すと血統に偏りが生じ病弱な個体、繁殖能力の低い個体が多くなってしまいます。
その為、これらに対して多くの経費を注ぎ込むより、元の生息地などの保全を積極的に行った方が良いのではないでしょうか?」

【否定側(F組)質疑】
・イルカの自傷行為とありましたが、それによってどれほどのイルカが死んでしまったのですか?
・狭い飼育環境とは自然界と比べてどれほど小さいといえるのでしょうか?
【否定側(F組)の立論】
「動物のリアルな姿を見ることが子どもたちの教育にも繋がります。」
「動物園は研究施設と比べて経済効果があり一石二鳥です。旭山市の外国人観光客が平成24年と平成28年とで約150万人も増えています。これは旭山動物園の存在が大きく影響しているのではないでしょうか。このように動物園の存在は地域の活性化にも繋がります。」
「水族館・動物園を廃止することで職を失う従業員達、また行き場を失った生き物達をどう対処すれば良いのでしょうか?」

残り30秒のタイムボードがあがります。

【肯定側(G組)質疑】
・廃止することによって、すべての人が職を失うのでしょうか?
・職を失った人々の受け入れ施設などは存在するのでしょうか?
・動物園で動物を研究しているとありましたが、具体例はなんですか?


【両チーム準備時間】


【否定側(F組)反駁】
「廃止するべき理由として、個体数の限られた動物で交配を繰り返すと血統に偏りが生じると主張されていましたが、それを防ぐ為、繁殖計画のもと動物を貸し借りするブリーディングローンという仕組みもあります。」
「ゾウの飼育場に砂場を設置することにより、ストレスを改善させたという例があり、必ずしも狭い空間であればストレスが溜まるかというとそうではないと言えると思います。」
【肯定側(G組)反駁】
「立論の時に『リアル』という言葉を使っていましたが、人工的に作られた動物園は、果たしてリアルと言えるのでしょうか?」
「立論で経済効果があると仰っていましたが、殆どの動物園では赤字なので経済的な効果はないのではないでしょうか。」

以上で第二試合が終了です。
そして結果発表です。
第一試合からはG組NKB48が、
第二試合からはF組ひろゆきっず乙が決勝戦へ勝ち進みました。


最後に学年主任の先生からのお話です。
「クラス内予選から数々の熱戦を続けてくることによって知識が段々とものになり、質疑に対するレスポンス、5人で協力し知識を出し合うその姿がますます成長をし続けていると感じました。
準決勝では立論と質疑に対しての反駁がありましたが、決勝戦では、第一反駁に対しての更なる反駁として第二反駁があります。
この第二反駁、そして決勝戦までに少し時間があくということもあり、今日以上の熱戦を期待できそうですね。」
決勝戦は3月8日です。
今回勝ち上がった2チームのさらに白熱した戦いが繰り広げられると思うと、とても楽しみです。
