逗子開成には「土曜講座」という講座があります。
教員の趣味や特技を活かしたもの、また保護者や外部の専門の方々に実施していただいている講座もあり、授業担当以外の先生と出会い関わることができます。
生徒の興味のあるものを自由に選択することができ、月曜日から金曜日までの普段の授業とは違った光景を見られるところも土曜講座の魅力のひとつです。
その土曜講座を作ろう、というのがこの中学1年生のプロジェクトです。
テーマは「海」。
これまでの時間の中で彼らは「海」をいろいろな視点から見て、学び、調べ、フィールドワークを行い、情報を集め、問いを立て、話し合いを重ねてきました。そのすべてを結集し企画書の作成を終えたそれぞれの班が、いよいよクラスのみんなの前で自分たちの企画を発表する、それが今日の授業です。
生徒たちが考えた講座の内容と、各グループが作成したポスターを一緒にご紹介します。
3班「深海を知ろう」
「どれくらいの種類がいるのか」「陸へあがるとどうなるのか」
謎が多い深海生物だが、その謎を解明する為この講座を作りたい。
深海について興味関心を持つことで自然や環境を気づかう大切さを知っていきたい。
6班「外洋のについて」
近海については授業などで学んだり、身近な環境なので関わることができる為、知っていることも多い。しかし私たちから大きく離れている外洋については調べなければ知ることができない。
そんな外洋についての疑問の答えを海の環境状態などから推測したり、外洋にはどんな種類の捕食者がどれほどいるかなどを研究していきたい。
5班「海と日本史」
鉄砲やキリスト教は海を渡って伝わってきた。
日露戦争ではバルチック艦隊が、貿易では日明貿易、朱印船貿易、日宋貿易などが海と関わっている。そんな歴史と海の関係を知ることで歴史についての知識を深めることができ、これからの生活に活かせるのではないだろうか。
7班「将来の海の環境問題について」
海のCO2の量や気候の変化などのデータを見ると平均気温が上昇していることがわかる。このまま何も対策しなければ未来の環境がどうなってしまうのかを知ることで、環境問題を軽視する人を減らしたりできる。この講座を作って海の環境問題が及ぼす影響について詳しく調べたい。
9班「海洋生物の面白い生活」
自らのからだの色を変化させたり、毒をもっていたりと色々な方法で身を守る海洋生物。
彼らの面白い生活、また深海生物の餌や捕食の仕方などを調べたい。
そして生態系の循環にどのように関係しているのかを詳しく知りたい。
2班「環境と共存する海」
海の環境問題を損なう原因として、生息環境の劣化・海洋の汚染・外来種の増加・海のCO2の増加・気候変動などがあげられる。
具体的にどのような経緯で環境が悪化したのか。
悪化すると我々にどのような影響があるのか。
悪化させない為我々にできることはあるのか。
環境に興味を持つことでなにか対策しようと思う人が増えると思うのでこの講座を作りたい。
1班「海の生物や海での事故の影響とその対策」
ウミガメなどの生物は、海に浮かぶビニールなどのゴミを誤食してしまう。これはクラゲなどの生き物と間違えてしまう為である。
このように過去の事例を調べることで、その事例がなければ海にどれほどの利益があったのか。そしてそのような事故が起きないように対策をしたい。
4班「海のものしり王におれはなる!」
大きな海にはどんな生物が何種類生息しているのか。地球温暖化で日本の海になにが起こっているのか。それによって海洋生物にはどのような被害が出てしまうのか。
今の私たちにできることを知る為にもこの講座をつくって海についてのあらゆることを調べたい。
10班「深海生物を知ろう」
深海生物は過酷な環境の中でどのように生きているのか。どのような進化を遂げているのか。
実際の深海の環境を知ることで、深海生物がどのように変化する必要があるのかを推測できるのではないか。
この講座を作り、理科についての知識も深めていきたい。
8班「海洋酸性化の原因と仮定」
海洋酸性化はCO2が原因とされているがそれ以外の原因はあるのか?
そしてその原因を知りどうやって改善することができるのかを調べたい。この講座を作り改善策をがわかることで、我々も対策していきたい。
各グループの発表が終わると、仲間の発表の感想を評価シートに記入します。
他のクラスものぞいてみると、
「マイクロ波をプログラミングで作ってみよう」
「逗子海岸に行って波のゆらぎを測定しよう」
「プラスチックゴミでアートをしてみよう」
「砂の量の推移を測定し100年後の逗子海岸を考えよう」
「人工的に死海を作ってみよう」
などさまざまな面白いアイデアが発表されていました。
あるいはこんな風に、数回に分けて実施する本格的な土曜講座も。
色とりどりの素敵なポスターもたくさん見ることができました。
全体を通して中学1年生ながらにしてさまざまな文献や情報にあたったり、話し合いを重ねて掘り下げていった様子が見て取れました。こうして身に着けた力が中学2年生のディベート大会をはじめとする探求学習につながり、さらにまた力を伸ばしていくのでしょう。この先の彼らの活躍が大いに楽しみになりました。