11月9日(土),16日(土)に行われた土曜講座「青銅鏡を作る」を紹介させていただきます。
青銅鏡は,中国大陸から弥生時代に日本に伝承されたとされています。この講座では,そうした歴史の授業で一度は聞いたことのある青銅鏡を自分たちでつくり、持ち帰ることが出来ます。
受講生達は、8時30分集合で今年度初デビューの手塚謙次郎先生から型作りの説明を受けました。
まず水ガラスが入った鋳造砂を木枠に入れます。
青銅鏡の元になる原型は、立体モジュールと呼ばれる樹脂を加工したものを使いました。
今年度は、新しい原型(アニメのキャラクター)を遊びで作ってみました。裏が鏡になるというわけです。
鋳造砂に原型の型がとれたところで、二酸化炭素を吹き込み,鋳造砂を固めます。
生徒は、夢中になって型作りをしていました。
次の工程では、レンガで作った炉の中にコークスを燃焼させて高温にしました。
炉内に置いたルツボに銅とスズをコークスの火力で融かしました。
今回は銅80%,スズ20%の割合で融かしました。
コークスの燃え方を初めて見る生徒は、炎の形と火力に驚いていました。
炉の中で1000℃程度に熱せられた青銅を、鋳型に注ぎ込む瞬間は誰もが真剣に見入ってしまいます。うまく出来ているかは、鋳造砂を割ってみるまで分かりません。
青銅が冷えたら、鋳造砂を壊し,青銅鏡をグラインダーやベルトサンダー、耐水ペーパーなどを使い、ひたすら磨きます。だんだんと綺麗に光を反射する青銅鏡に、生徒達は夢中になっていました。
大変な1日でしたが、生徒達も教員も充実した1日になったと思います。
◎謝辞
この講座は、10年以上前から始まっていますが、当初は信楽粘土で坩堝をつくり、銅と錫を融かして直径3 cm程度の青銅片を作っていました。今の鋳造のスタイルになって3年になりましたが、企業の方々、地域の方、大学の先生の御協力を頂き実施することが出来ています。この場を借りて改めまして,お礼を申し上げます。
① 有限会社 古谷商店 様
青銅鏡作りでは銅を多量に使用する必要があります。
近年銅の価格は大変高く、学校だけでは、とてもこの量の銅を用意することができません。
そこで本校がお世話になっているのが、大阪府にある「有限会社 古谷商店」さんです。
本校が鋳造を始めた年から古谷商店さんのご厚意で銅を廉価で譲っていただいております。
毎年、この講座が実施できるのも古谷商店さんのおかげです、ありがとうございました。
古谷商店HP
https://www.e-furutani.com/
②刀工師 出島宏一 様
鋳造に使用する長いるつぼばさみは、鎌倉で刀を打たれている刀工師の出島宏一さんにご厚意でこれまで作製していただきました。今年度も新たに1本作製していただきました(写真真ん中)。長くてとても使いやすいです。ありがとうございました。
③ 東京工業大学 無機学生実験室 様
今回、東京工業大学無機学生実験室より、プレスで型抜きしたあとの銅板を譲っていただきました。来年度は、こちらの銅板も融かして鋳造の原料にさせて頂きます。大切に使用させていただきます、ありがとうございました。