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松坡文庫研究会新視点発表 「田辺松坡と鎌倉妙本寺」講演会

2019/11/12
 11月10日、本校元校長で松坡文庫研究会代表の袴田潤一先生による講演会「田辺松坡と鎌倉妙本寺」が開かれました。本講演会は、鎌倉中央図書館Fantastic☆Library108の催しの一つとして行われました。会場は松坡が若い頃から訪れ、たびたび詩会を開き、松坡の漢詩碑もある鎌倉妙本寺(書院)。歴史研究者、地域史研究者、田辺松坡(新之助)のご子孫、本校在校生卒業生の保護者、校友会の方など44名が参加しました。
 袴田先生の講演は、松坡の生涯と活動を漢詩人としての側面に光を当てながら多くの資料(史料)に基づいて丁寧に辿るとともに、松坡と鎌倉、妙本寺との関係を探り、松坡の妙本寺を詠んだ詩(「鎌倉妙本寺」「海棠花下吟」)を鑑賞するものでした。
 松坡は20代半ばで漢詩壇に颯爽とデビューし、その後多くの人物との多様なネットワークの中で教育者・漢詩人として生きました。松坡が親しく交際した人たちは、漢詩関係としては大沼枕山・岡本黄石・依田學海・杉浦梅潭など、政治家・軍人としては高橋是清・松方正義・樺山資紀・柴山矢八・釜屋忠道など、その他、曾禰達蔵(建築家)・徳富蘇峰(ジャーナリスト・思想家)など多方面にわたります。先生の講演の眼目は、そういった人たちと松坡の交流を詩会の記録や詩題、また雑誌記事などから探し出してマッピングすることで、松坡の生涯のみならず、近代の政治・軍事・文化状況をも示していけるのではないかということでした。学問の世界では「人脈」というファクターは嫌われがちですが、人脈(この言葉がふさわしくないとすれば「人間関係」)という視点を敢えて強調することで事柄を捉え直していこうという研究の端緒が示されていたように思います。
 講演は1時間半程でしたが、妙本寺祖師堂前にある漢詩碑(昭和13年建立)と、その完成式を祝って制作され、書院に飾られている立派な詩画軸を鑑賞して終了しました。
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写真:盛況だった講演会様子/妙本寺境内「海棠花下吟」漢詩碑
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