ニュース

逗子開成中学高校入学式 学校長式辞

2018/04/07

満開だった桜の花が散り始め、早くも新緑の季節を感じさせる今日このごろです。本日は入学式にご多忙のところ、PTA、学校法人の役員の皆様をはじめとするご来賓の皆様、また、多くの保護者の皆様のご出席をいただき、心からお礼申し上げます。

中学1年280名、高校1年273名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。日に日に木々の緑が増していく春は新しいスタートにふさわしい季節です。その輝かしい第一歩を踏み出すにあたり、私から一言お話をしたいと思います。

さて、皆さんは「iPS細胞」というものを知っていますか?

「iPS細胞」とは、血液や皮膚の細胞から作ることができる万能細胞で、人間の体の様々な細胞になることができ、いくらでも増やすことのできる細胞です。これを利用して体の一部や臓器などを作り出し病気の治療に使う、いわゆる再生医療に役立つのではと期待されています。京都大学の山中伸弥教授が、この研究で2012年にノーベル医学生理学賞を受賞したのは、皆さんも知っているのではないでしょうか。

今日入学した新入生の皆さんは、この「iPS細胞」と同じだと思ってください。つまり、まだ何者かにはなっていないが、これから何者でもなれる可能性を持っているということです。この中高6年間で自分自信がどのような存在なのかを知り、そしてどこへ向かって行くのかじっくり考え決めていく必要があります。

それでは、そのためにどのような学校生活を送ったらよいのでしょうか。

まずは好き嫌いにこだわらす何でもやってみるということです。好きなことに関してはおそらく何も言われなくても一生懸命やるでしょう。好きでないことは極力避けたり、やらなければいけないと思っていても先延ばししたりするものです。しかし、避けてきたものの中にこそ、君たちの可能性を広げ将来役に立つことがあるかも知れません。強制され仕方なくやらなければ一生経験できないこともあるはずです。学校で勉強する教科の中には嫌いなものがあるからと言って、もし勉強しなかったら様々な可能性が閉ざされてしまいます。また、中学のOPヨットや遠泳、高1グローバルキャンプ、高2アジア研究旅行など、逗子開成でなければ経験できないような行事もあります。大人になり社会に出たときに中高生時代にしたことではなく、やらなかった事を後悔するものです。様々な経験をし、自分の成長に資する蓄えを沢山つくることです。何が将来役に立つのかは分かりません。一旦自転車に乗れるようになると何年たってからでも自転車に乗れるものです。

次に身の回りのことに対する感受性を高めておくということです。人間はきちんとものを見ているようで見ていないものです。同じ体験をしていても、ほとんど何も感じない人がいる一方で、他の人が気付かなかったことに注目していた人もいます。普通に歩いていても何かを見てやろうという気持ちがあると、今まで見過ごしていたものを発見することがあります。自分を変えるきっかけとなるものは、実は以外にそのへんに転がっているのかも知れません。

誰々さんは運が強くて、自分は運が弱いという人がいます。そういう人はいろいろなチャンスが目の前にあるのに、見えているのに見ていないのではないでしょうか。目の前にある自分を成長させるヒントやチャンスを、感受性を高めることによって掴み取って欲しいと思います。

そして、読書です。学校で学び経験できることには限りがあります。本を読むことで大学者が何十年もかけて研究した内容を知ったり、歴史上の人物の考えを知ったり、あらゆる分野の最先端のことを知ったりできます。そして自分の世界を広げることができます。皆さんには自分の興味ある分野については、もちろんどんどん読んで欲しいのですが、できれば今まで全く興味のなかった分野の本も、ときには読んで欲しいと思います。思いがけず新たな発見があり、自分の将来について考えるヒントがあるかも知れません。読書の習慣をぜひ身につけてください。

皆さんは先ほど話したように「iPS細胞」の状態です。これから何にでもなれる可能性を秘めています。逗子開成での中高6年間で多くのことを学び様々な体験をし、その可能性を広げてください。失敗を恐れず是非いろいろなことにチャレンジしてください。失敗したとしてもそれは自分を高める良い経験となります。皆さんが、中高6年間で自立した逞しい青年となることを期待しています。

遅くなりましたが保護者の皆様、ご子息のご入学誠におめでとうございます。教職員一同、ご子息が充実した学校生活を過ごし、大きな成長を遂げられるように全力を尽くします。ご子息の教育には学校とご家庭の協力が不可欠です。保護者の皆様には、本校の教育活動にご理解をいただき、ご支援とご協力をお願いいたします。

それでは、新入生の皆さんが、今日の喜びと感激を忘れずに、健康で楽しく、自分の成長が実感できる学校生活を送るよう期待しています。

以上をもちまして入学式の式辞といたします。

カテゴリー :
学校学年行事

カテゴリ

最新の記事

アーカイブ

ページトップへ戻る