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映画「この世界の片隅に」鑑賞文

2018/01/06

映画「この世界の片隅に」鑑賞文
高2高3の生徒が鑑賞しました。戦時中の広島・呉に暮らす人々の日常を描き、昨年高い評価を受けたアニメーション作品です。

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【注意】鑑賞文は時に映画の重要な内容や結末に触れる場合がありますので、お気を付け下さい。

高3 T君

 「この世界の片隅に」という名前は、この映画にふさわしいものだと感じた。誰もが苦しい生活を強いられた戦中の日本においても、その「片隅」にはごくあたり前の日々の生活が存在していたことを感じることができたと思う。今を生きる私たちにとっては、イメージのしにくい時代だが、豊かな色彩で表現された世界は、不思議な程に違和感もなく私の目と頭に入っていった。
 色彩に加え、もう一つ美しいものがあった。それは人々、即ち日本人だ。今の私たちも同じ日本人だ。しかし、この映画に描かれた人々は明らかに今と違うと感じた。作品の中で人々は決して恵まれた生活をしてはいなかった。だが、それは問題ではない。ただただ「生きたい」という思いで、明日も見えない日々を、ひたすらに屈することなく逞しく生きていたのだと私は強く感じた。それに加えて、家族や大切な人との絆や愛。これらの姿は本当に「美しい」と感じた。と同時に、これらは今の日本人から欠落してしまったのではないかと感じざるをえない。今の私たちに、日本人として、人間としてどう生きるべきかというメッセージを送っていると私は思った。
 最後に、やはり戦争は何の意味もない悲惨なものだという思いを抱く。作品中に、二人の印象的な少女が出てきた。一人は主人公の義理の姉の娘だ。不幸にも不発弾の犠牲となった。また、もう一人は終盤に、原爆で母を失った子。二人とも、現代であれば何不自由なく生きられるが、戦争の惨禍に巻き込まれたのだ。そう考えれば、現代は比較にならないほど平和で、豊かな日々だ。だが、私たちはそれに決しておごることなく、一日一日を大切に、感謝して、有意義なものにしていくべきではないだろうか。それが、今を生きる私たちに求められている事と強く思った。


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