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映画『幕が上がる』鑑賞文ご紹介

2015/12/19

11月19日に、中1・中2の生徒が日本映画『幕が上がる』を鑑賞しました。弱小演劇部員の少女たちが、新しく赴任してきた教師の指導で生まれ変わり、全国大会を目指すという青春ドラマです。

【注意】鑑賞文は時に映画の重要な内容や結末に触れる場合がありますので、お気を付け下さい。


中2  T君

 映画を作る人にとって「俳優をいかに魅力的に見せるか」という課題はとても大きなものだと思う。僕は『幕が上がる』という作品の作り手はこの課題を完璧にクリアしていると断言する。主人公達を演じるのはももいろクローバーZというアイドルグループのメンバー達。僕はこれまで、このグループについてほとんど何も知らなかった。ところがこの作品を観ただけで、ももクロのメンバーの魅力に一気に引きこまれた。この場合の「魅力」とは何も顔のかわいらしさだけではない。部活に一生懸命打ちこむひたむきさ、会話をしている時に見せる喜怒哀楽の表情なども全て含めて「魅力」なのだと思う。実はこれらの「魅力」をももクロから引き出すために作り手側は様々な工夫を凝らしている。
 例えば、本作の前半部分にある主人公のナレーション。一見説明しがちに聞こえるが、主人公の高橋は最初、思っていることをなかなか口に出せないキャラなのだ。つまり表情などで心情を表現しなければならない。このような演技はとても難しいので、ナレーションで説明するというような工夫は観客にも演じる側にとってもプラスに働いている。
 また、高橋と中西がショッピングモールで会話をするシーン。二人の距離が縮まる重要なシーンだ。ここで高橋は汗だくでジャージ姿でリュックを背負っているのに対し、中西は清楚な服を着て、落ち着いている。このままでは二人の距離は縮まらない。ところが、高橋が出した演劇の大会のチラシを見て、中西が思わず高橋の飲み物を手元に持ってくる。この一連のシーンはとてもさりげない行動の連続だが、中西が飲み物を手に取ることで、高橋に心を開いたという意味を持つのだ。
 このように細かい演出や工夫を凝らすことで主人公達のキャラに奥行きが増し、一気に観客は主人公達に感情移入できるのだ。
 これまでチマチマしたことばかり並べてきたが、本作の素晴らしさを雄弁に物語っているのは、「ももクロの魅力に初めて気付いた。」と言う事実だ。とにかく主人公の5人が最高だ。映画を観ているうちにどんどん彼女達に惹かれていき、最後に文字通り「幕が上がる」瞬間に彼女達を応援したくなってしまうほどだ。それだけももクロのメンバーや本作の作り手には人々を虜にする力があるのだと思い知らされた。そして、ももいろクローバーZがなぜこれほど人気があるのかという理由も何となく分かった気がした。

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