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三井記念美術館に蔵王権現をみにいきました

2015/10/30

土曜講座「そうだ!博物館へ行こう!!三井記念美術館編」が実施されました。

当日は9:30に東京駅に集合しました。参加者は中1から高1までです。
少し時間もありましたので、渋沢栄一像や日本橋、日本銀行などをながめながら美術館を目指しました。

開館と同時に研修開始です。
今回ご案内いただいたのは、教育普及担当の亀井愛先生と展示担当の海老澤るりは先生。
まずは研修室にご案内いただき、生徒たちは箱の前に座るよう促されます。箱の中には・・・、

おお! 今回目玉の蔵王権現のフィギュアが!!
生徒たちは引き込まれていました。それぞれ自由に鑑賞します。そして、亀井先生からお題が。
「どこからみるのがいいか。蔵王権現にとって一番良い角度か探してみよう!」

20151017見学の様子①.jpg 20151017見学の様子②.jpg

生徒たちは、あーだこーだいいながらまわりをまわって鑑賞します。

「正面から!」 「なぜ?」  「見上げる迫力や後ろの炎が一番良く見えるから」
「左側正面から!」 「どうして?」 「何かを持っている様子がよくわかるし、振り上げた足が良く見えるから」

生徒の意見を一つ一つ丁寧に拾い上げ、質問を投げかけていただきました。

続いて海老澤先生の講義です。
「修験道とは何か」からはじまり、役行者や権現などについてお話いただきました。
権現は神様でもあり、仏様でもある。神仏習合という概念や蔵王権現の特徴を分かりやすく説明していただきました。

20151017海老澤先生講義の様子.jpg


終了後は、いよいよ見学ですが、その前に事前課題「なりきり蔵王権現」を確認しました。
自宅で「蔵王権現」になりきった写真を送ってもらっていたのです。当日は、参加者生徒のなりきった姿を全員分紹介しました。

この課題、結構真剣に取り組んでくれていました。
なかには、写真と一緒にこんな文章を送ってくれた子も

「ちなみに使ったものは
上半身に巻いているもの...布団のシーツ
頭にかぶっているもの...ハロウィンのカボチャのカチューシャに父の手袋をぬいつけたもの
首飾り...祖母が母に譲ったネックレス、2種類使った
岩のような台...黒いボストンバックのなかに階段状の踏み台を入れたもの
右手に持っている独こ杵...トイレットペーパーの芯を2つつないだもの
です。
思ったより顔の筋肉を使ったためつかれました。すべて家にあったものを使いました。
顔の表現の方はもう少し改善できるところがあったと思います。」

20151030なりきり蔵王権現まとめ掲載用.jpg

なかなかレベルが高い!
そして、なりきりベスト3を「身体表現」「全体のバランス」の2点を基準にして選んでもらいました。

結構盛り上がりました。
これで実際の展示をみるトレーニングは十分です。それぞれ展示室内へ。

展示室内での課題は、「展示されている蔵王権現のうち、最も好きな蔵王権現を選ぶこと」でした。

自由見学終了後は発表もしてもらいました。
よく見ているな~、と感心させられる発表ばかりでした。コメントへのフォローは、海老澤先生にもご協力いただき、
彩色の意味や、ポーズの意味、剣印の意味などについてご説明いただきました。

あっという間の見学でした。

20151017発表の様子①.jpg 20151017発表の様子②.jpg

「自分の身体で感じること」「作品の細部をみること」の二点を主眼においた今回の見学。
館の方のご協力をいただいたおかげで、とってもおもしろい授業になりました。

感想文(原文ママ)を少しご紹介すると、

「今まで、ただの宗教道具などに過ぎないものだろうと感じていた(すみません)ものが、とても迫力があり、堂々としていて美しかったので、先入観を持ちあまり関わってこなかったことを後悔した。とても美しく、素晴らしかった。また、ポーズなど、一つ一つに意味が込められていて、すごいと思った。これからもこのような機会があるときは、積極的に接していきたい。」

「仏像は今まで遠くからしか見たことがなく、今日、その顔を見て表情がとても豊かなことにはじめて気がついた。見ている人を圧倒するような怒りの表情もあれば、無表情に一点を見つめる像、そして目があった、などど思ってしまうほど、人間の顔のような像もあって驚きだった。」

「あまり知らなかった仏像や蔵王権現をたくさん見て、時代によっていろいろな表現方法があったり、ポーズに少し違ったりと、少しの違いにそれぞれの特徴があるのがわかった。また、それぞれのポーズに意味が込められて作られているというのが伝わってきた。」

事前の打ち合わせから当日にいたるまで、ご協力いただいた三井記念美術館の先生方ありがとうございました。

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