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映画『壬生義士伝』鑑賞文ご紹介

2015/09/15

映画『壬生義士伝』鑑賞文ご紹介

7月8日に、高2・高3の生徒が日本映画『壬生義士伝』を鑑賞しました。この作品は架空の新撰組志士・吉村貫一郎を主人公に、幕末の動乱を描いた感動作です。

【注意】鑑賞文は時に映画の重要な内容や結末に触れる場合がありますので、お気を付け下さい。

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高3  C君
 義士伝という名の通り義を貫く侍の物語、かと思っていたが、義の話が出てくるのは映画の後半。前半で描かれる主人公吉村貫一郎はずいぶんとお金に執着する、武士のイメージとはかけ離れた男だ。
 しかし、それは彼の家族を思う故の行動であった。全体を通して感じるのは、貫一郎の家族に対する強い思いだ。家族を守るためには脱藩という藩・藩主に対する不義もいとわなかった。そして、これまた、命や家族に執着せず義を貫くべしである侍とはかけ離れた思いだ。ここまでは貫一郎は全く武士らしくない男だと思っていた。
 しかし、だからこそ、故郷南部盛岡で武士の心を説いてきた貫一郎は、もうこれ以上不義はすまいと一途に突っ走ったのだろうか。鳥羽伏見の戦い、幕府側の圧倒的な不利の中で、それでもひとり突き進んだ彼は、まぎれもなく侍の義を貫いたのだった。映画前半の、ぺこぺこと頭を下げお金をせびる姿からは想像できぬ男らしさに胸を打たれた。どの姿も貫一郎の真の姿であるから、その純真さと奥にある本物の侍の心に、初めは彼を嫌っていた斎藤も惹かれていたのだろう。
 ここで終わりかと思いきや、なんと貫一郎は生き延びて親友である大野次郎右衛門を訪ねていたのだった。正直、侍として義を貫いた貫一郎が一度裏切った藩に戻ったことには違和感があった。しかし最後に彼を動かしていたのは、故郷への思い、そしてやはり家族への思いだったのだろう。いつの時代も家族を思う気持ちは変わらないのだと思った。

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