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7月の映画 「最強のふたり」

2013/09/02

7月の映画 「最強のふたり」
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー
半身不随の大富豪と、その介護をすることになった貧しい黒人青年の、心の交流を描いた物語。

生徒の鑑賞文(鑑賞文は時に映画の重要な内容や結末に触れる場合があります。ご注意ください)

中2 松下恭輔

 最初は静かな雰囲気で始まったので、しんみりとした感じの映画なのかなぁと思った。しかし、その直後に黒人のドリスが急にスピードを出し始め、あろう事かスピード違反で捕まえようとした警官をだまし逃げてしまう。そうか、これはコメディー映画だったのか、そう思って観始めた。
 この瞬間に僕は、見事に監督の作戦に引っ掛かってしまっていたのだろう。なぜならこの映画は、基本的にはコメディータッチだが、片や元無職の青年、片や半身不随の大富豪、と立場の違う二人がいろいろなハプニングを乗り越える事で、友情を育んでいくというかなり深い物語だったからだ。とても感動する作品だった。
 フィリップは障碍者だからと言って、同情されるのがとても嫌だった。けれども、最初は落とされるために来たドリスは、そんな事もお構いなしにフィリップに接していたため、二人は「最強」の関係を築けたのだと思う。しかし、ドリスが意識してこの様に接していたら、「最強」にはなれなかったはずだ。ドリスが、根が真っ直ぐでそういう性格だった為に、「最強の二人」となれたのだろう。
 例えば、フィリップのサプライズパーティーの時には、フィリップはクラシックを好きなのに、自分のお勧めと言って、アース・ウィンド・アンド・ファイヤーの「ブギーワンダーランド」を流し、皆に踊るように言う等、随分と勝手な事はしている。しかしそれが、結果的に良い方向に転がる。僕はドリスのそういう所が大好きだ。
 僕は、半身不随の人を相手に「同情なし」で接する事ができるだろうか。「大変だな、可哀相だな」と思うことが同情だとしたら、そう思わずに接することは難しいだろう。また、僕はよく他人から、優しい、とか面倒見がいい、とか言われるが、例え自分では同情しているつもりが無くても、優しくして面倒見をよくしたら、同情と受け取られてしまうのだろうか。どこまでが同情でどこまでが相手の望む介助なのだろう?僕には相手の尊厳を傷つけず、介助する事ができるのだろうか。そんな事も考えさせられる映画だった。
 

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