新着情報

卒業生の山内優揮さん、第74回朝日広告賞を受賞

お知らせ

卒業生の山内優揮さん、第74回朝日広告賞を受賞

逗子湾でぼーっとしていた時間が、受賞作に。

山内優揮
山内優揮
Creative Director / Copywriter 主な受賞歴に、 Lisbon Health Award〈Bronze〉、 NEWYORK FESTIVALS HEALTH AWARDS〈Finalist〉、 FCC賞〈審査員特別賞〉、朝日広告賞〈グランプリ〉、 Metro Ad Creative Award〈準グランプリ〉、 販促会議企画コンペティション〈協賛企業賞〉など。

第74回 朝日広告賞〈一般公募〉新聞広告の部 グランプリ受賞作品

「なんでもできる可能性に、ときどき負けそうになる。」

なんでもできる。なんでも選べる。そんな可能性に満ちた今だからこそ、ときどきその大きさに圧倒される日もあります。
戸惑いや焦りも否定せず、可能性の大海原を生きる心に寄り添いながら、それでも前を向こうとする姿を描いた作品です。

「朝日広告賞」とは、朝日新聞社が主催する日本最大級の新聞広告賞。〈一般公募〉は若きクリエイターが個々の腕を競う部門で、企業から提供された課題からテーマを選び応募された作品です。

今回、「朝日広告賞」を受賞された作品に込めた想いを教えてください。

なんにでもなれるって、案外たいへんです。

大人になると、若い人を見て「なんでもできていいなあ」とつい簡単に言いたくなります。
私も、久しぶりに母校を訪れて、生徒のみなさんを見ながらそう思いました。
これからなんでもできる。
まだいくらでも選べる。
でも、高校生の頃の自分を思い返すと、それは必ずしも気楽なことではありませんでした。
なにを選べばいいのか分からない。
自分より得意そうな人がたくさんいる。
ちゃんと前へ進んでいるように見える友人がいる。
広告や脚本は好きでした。
でも、それをどう人生にすればいいのか分からない。
まだ何者にもなれていない気がする。
勉強でも部活動でも、「これが自分だ」と言えるものがある友人をすこし羨ましく思いながら、放課後になると逗子湾へ行き、ただ海を眺めていました。
今回の作品を考えているとき、自然とそんな頃の自分を思い出しました。
だからこの広告は、いまを生きる若い人に向けたものですが、あの頃の自分へ向けたものでもあるのだと思います。

逗子開成での経験が、現在の考え方につながっていると感じることは?

ほんとうの意味が分かるのは、ずっとあと。

私たちはずいぶん早くから、「愛」「自由」「希望」なんて、大事な言葉を習います。
言葉自体の意味は知っている。
でも、それが自分にとってどんなものなのか、ほんとうの意味を理解するのは、ずっとあとだったりします。
10代の頃にはなにも感じなかった本の一節が、大人になって読み返すと、まるで自分のために書かれていたように感じることがあります。
本が変わったわけではありません。
生きた分だけ、読めるものが増えたんです。
自分の人生も、きっと同じです。
いまはまだ、意味の分からない時間がある。
毎日くりかえす寄り道。
うまくいかなかったこと。
好きだけど役に立たなそうなこと。
それがなにになるかを、いま決めなくていいのだと思います。
高校時代の私は、逗子湾でぼーっとしていた時間が、こうして作品になるなんて知りませんでした。
あとになって、「あの時間があったから、ここへ来られたんだ」と分かることがあります。
私にとって、逗子開成で過ごした時間は、そういう時間でした。

最後に、逗子開成の生徒たちへメッセージをお願いします。

いまの自分で、未来の自分まで採点しない。

学校にいると、いろいろな数字が出てきます。
点数。順位。偏差値。
そして知らず知らず、自分自身まで点数をつけるようになることがあります。
高校時代の私は、誰の目にも明らかな才能を持った生徒ではありませんでした。
それでも、なぜか書くことはやめませんでした。
自分では、それほど「努力している」という感覚はありません。
なぜか、気になる。こだわる。
そういう積み重ねが、すこしずつ「らしさ」をつくっていった気がします。
いま目立っている才能だけが、その人のすべてではないと思います。
なぜか、やってしまう。やめない。
そういうものが、ずっとあとになって、大きな意味を持ってきます。
だから、いまの成績や、いま持っている才能だけで、自分の未来まで採点しないでください。
私自身、当時は意味の分からなかった時間まで、人生の一部としてちゃんとつながっていました。
本人にすらまだ分からない。だからこそ、面白いのだと思います。

  • img

  • img

  • img

  • img