学校長メッセージ

学校長メッセージ

かけがえのない存在として 他者を尊重しながら、
「思考する」ことを共に学ぼう。

学校長 小和田 亜土(こわだあど) 学校長 小和田 亜土(こわだあど)

世界がコロナ禍から脱しつつあるなか、2023年に本校は創立120周年を迎えました。世界中の人びとがコロナウィルスと対峙し、各々の文化的慣習や日常の生活習慣の見直しを余儀なくされた局面をふまえ、あるべき社会の姿があらためて問われました。わが国では“新しい生活様式”という言葉のもとで生活スタイルの再構築が模索されてきました。学校教育においても将来に向けて従来のかたちを見直し、新たなかたちが再検討されています。

これからの時代において学校で育むべきかけがえのない大切なものは何か。この問いに対して、本校では、コロナ禍がもたらした急激な社会変化をふまえながらも、120年にわたる教育活動の積み重ねのなかから、その育むべき大切なものを探求すべく求められていると感じます。

逗子開成は私立東京開成中学校の分校として1903(明治36)年4月18日に誕生しました。当初は「各種学校私立第二開成学校」とよばれ、創立者は当時開成中学校の校長を務めていた田邊新之助先生でした。1909年に東京開成中学校から分離独立して、私立逗子開成中学校となりました。

校名の「開成」は中国の古典『易経』にある「開物成務」に由来します。この言葉は、「人間性を開拓・啓発し、人としての務めをなす」ことを意味しており、本校の建学の精神として現在まで教育理念の土台にあります。学校生活を通じて生徒が自らの能力や資質を伸ばし将来社会に貢献できる人になってもらいたい――逗子開成は、100年をこえる時間のなかで「開物成務」のもと、社会の動きを見据えながら広い視野をもち世界標準で活躍する人たちの育成に取り組んできたのです。

現在の逗子開成における教育方針は、1985年頃にその大枠が示されました。1984年に理事長に就任した徳間康快氏(当時は徳間書店社長でもあった本校卒業生)は、逗子開成を「21世紀の国際社会を担っていく生徒たちが、高度な知識や人間性豊かな情操、たくましい行動力を身につけられる学校」にしようと、大幅な学校改革を進めました。1986年に中学の募集を再開するにあたって、カリキュラムを見直し、OPヨット実習や遠泳実習を含めた海洋教育、映像教育、土曜講座、ICT教育、海外研修など、改革が次々と打ち出されたのです。そして現在、これらの教育活動は、さらにステップアップし発展させたかたちで行なわれています。

さて、世のなかはこれから先、ますます変化が激しく予測が立ちにくい時代に入っていくでしょう。そうした時代において私たちは学校で何を学ぶべきなのか。何よりも「思考する」ことを学ぶことです。思考する機会を増やし、よい思考の習慣をつけていくことで思考力が養われます。本校では授業をはじめホームルーム活動や委員会活動、諸行事を通じて、問いを立て問題を解決する機会を大切にしています。また、その際には他者と「協同する」ことも重視します。「協同する」と言うのは易しいことですが、実際には深い内容を含意しています。生活環境の異なる人どうし、国籍の異なる人どうしであっても、他者をかけがえのない存在として尊重することが求められますし、互いの意見が異なる場合には対話により折り合いをつけるよう努める姿勢を持たねばなりません。実際に逗子開成の生徒たちは、まさに世界標準で、さまざまなことにチャレンジし失敗や成功を繰り返しながら成長しています。

皆さんの学校生活が充実するよう、教職員一同、全力でサポートしていきます。この逗子開成で実り多い6年間を過ごし社会へと巣立っていくことをお祈りしています。

学校長 小和田 亜土(こわだあど)

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