学校生活
【シネマ倶楽部】『ライフ・イズ・クライミング!』鑑賞文
7月3日に高校2・3年生が『ライフ・イズ・クライミング!』を鑑賞しました。
(作品概要)
視力を失ったクライマーのコバ(小林幸一郞)。頼れるのは彼の目となる視覚ガイドのナオヤ(鈴木直也)だけ。「右手、1時半、遠め。右、右、右!」、遠くから聞こえる相棒ナオヤの声を自分の目のように頼り、8の字結びのロープでつながり、命をゆだねて岩を登る。世界選手権4連覇を成し遂げた2人が、次に目指したのは、ユタ州の大地にそびえ立つ真っ赤な砂岩フィッシャー・タワーズのてっぺんに立つこと――
想像を超える大自然、何億年もかけて作り上げられたダイナミックな岩山の絶景、人生を変えた恩人との再会。そこにあるのは、とびきりポジティブな心と溢れる笑顔、そして、ゆるぎない2人の絆。困難を前にしても嘆かない、諦めない、逆に楽しむ! 爽快、胸アツ、時にスリリングな映画みたいなほんとの話。
- 生徒の鑑賞文には映画の内容も含まれますのでご注意ください。
(S3C Iくん)
盲人によるロッククライミング。最初にこの映画のあらすじを知ったとき、僕がイメージしたのは、ブラインドマラソンだった。だが、クライミングで走るときと同様の伴走ができるものだろうか?そんな疑問も抱いたので、そのサポートが声かけによるものだと書いてあったのを見て、腑に落ちると同時に、心のどこかで、つまるところサッカーの試合における監督と選手の関係のように理解している自分がいた。
だが、そんな想像は序盤で早々に打ち砕かれることになる。僕の目に飛び込んできたのは盲目であることが信じられないほどスイスイと登る小林さんと、地上を縦横無尽に駆け回りながら声を出し続ける鈴木さんの姿だった。場面はこれまで二人が挑み続けてきたパラクライミングを振り返るシーン。この瞬間僕は二人の関係が監督と選手でも、ましてや応援する人と選手でもない、進む方向が前か上かという違いはあれど、二人三脚で進むチームであることを理解した。
この作品に出てくる人物は、それぞれに壁に挑んでいたということも興味深い。小林さんは勿論、英語ができなかったのにアメリカに渡った鈴木さん、社会復帰を諦めていない西山さん、孤独ではなく仲間との冒険を選んだエリックさん。それぞれの生きる姿は、とても印象深かった。
しかし何といっても一番は、ラストのフィッシャー・タワーズに挑む二人だ。途中小林さんが靴を落とすというアクシデントに見舞われながらも、二人は笑っている。そこに真剣さはあっても深刻さはない。そしてついに頂上に立った小林さんは、白杖を天に掲げる。それは全力で生を謳歌する一人の人間の、魂の叫びだった。
壁に挑むことを選んだ者にしか見えない景色がある。それを、僕もいつか、見てみたい。