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【松坡文庫研究会】田辺松坡『菱花山館詩鈔』の刊行

松坡文庫研究会

【松坡文庫研究会】田辺松坡『菱花山館詩鈔』の刊行

【松坡文庫研究会】田辺松坡『菱花山館詩鈔』の刊行

【松坡文庫研究会】田辺松坡『菱花山館詩鈔』の刊行 (松坡文庫研究会代表 袴田潤一)

 松坡文庫研究会では田辺松坡先生の若い頃の漢詩111首が採録された漢詩集『菱花山館詩鈔』を刊行しました。研究会の2023年度の活動の一つの成果です。

鎌倉女学院 松籟文庫蔵「田辺文書」には松坡先生の多くの詩稿があり、一昨年末、その中に「菱花山館詩鈔」と題されたまとまった自筆原稿を見つけました。稿本は一行17字、12行の原稿用紙47枚に毛筆で書かれ、所々に推敲の跡が見られます。採録されている詩は80タイトル111首で、詩型(五言古詩・七言古詩・五言律詩・七言律詩・五言絶句・七言絶句)ごとにまとめられています。111首のうち、新聞や雑誌に発表されたものが27首あり(発表作と稿本とでは語句の異同が若干見られる)、それは明治19(1886)年頃から明治33(1900)年頃まで、つまり、松坡先生20代後半から30代後半に及びます。この稿本は松坡先生が版行の意図をもって自ら過去の作品を撰び、若干の推敲を加えたものだと思われます。但し、成稿の時期については不明です。『菱花山館詩鈔』が版行された形跡がないので、先生は何らかの事情でそれを断念したのではないでしょうか。

 ところで、「菱花山館」は松坡先生の堂号です。昭和9(1934)年の夏に建てられた水道路の新居を「菱花山館」と号したこと、鎌倉市中央図書館の松坡文庫(田辺新之助旧蔵書)の多くに「菱華山館」蔵書印が捺されていることから、先生が堂号として「菱花山館」を使っていたことは判っていましたが、若い頃から「菱花山館」号を使っていたことは、この稿本によって知ることが出来ました。

 松坡文庫研究会ではこの稿本を何とか活字化して版行できないかと考えました。時あたかも、今年は松坡先生の没後80年に当たり、先生の志を実現することは先生への供養にもなる筈です。

 111首を会員の中の5人で分担し、デジタル化の作業を進めました。毛筆で書かれていること、難しい漢字や異体字が使われていることもあり、入力は難航しました。その後、校正を重ねて印刷原稿が完成したのが昨年の終わり。年が明けて限定20部の試作版を作り、更に検討を加えて、このたび『菱花山館詩鈔』限定非売品200部(A5版)を印刷・刊行しました。

 完成した詩集は、松坡先生に所縁のある人々や団体、教育機関、図書館、鎌倉市内の寺社等に寄贈いたしました。

 漢詩人田辺松坡の業績を多くの人に知っていただくことに少しでも役立てれば研究会としても嬉しい限りです。

※非売品として作成しましたが、ご希望の方には頒布いたします。詳細は本ホームページ右上のお問い合わせメールにて、逗子開成中学校・高等学校・校史編纂委員会宛にお問い合わせ下さい。

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