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卒業生による講演会
『我々は戦争にどう立ち向かうのか』と題した講演会が、1月30日(火)放課後、徳間記念ホールで行われました。
生徒会主催で、120周年記念企画最後のイベントでした。講師は本校卒業生で国際法の専門家の藥袋佳祐さん(名城大学法学部准教授)です。参加者は70名ほどで、中1~高3までの本校生徒に加え、本校役員、校友など大人の方もお越しいただきました。
戦争はなぜ起きるのか?
戦争は悪か?
なぜ国際社会は戦争を止められないのか?
戦争にルールはあるのか?
戦争をなくすために私たちは何ができるのか?
5つの問いを立て、国際法の考え方を丁寧に語ってくれました。
最後の問いに関しては「アイヒマン裁判」が取り上げられました。裁判を傍聴した哲学者ハンナ・アーレントは、アイヒマンに「凡庸な悪」しか感じなかったといいます。「凡庸な悪」こそがユダヤ人大虐殺という人類最大の悪を生んだのです。私たち一人一人が、他人の立場に立って多角的にものを考えられるような人、自分の言葉で考えを語れるような人になることこそが、未来の悪を回避し、戦争をなくすことへの大きな一歩になる、藥袋先生からメッセージをいただきました。
質疑応答では積極的に手が挙がりました。「自律型AI兵器の規制は可能か?」「違法な戦争と合法な戦争があるが、現在の戦争で国際法は守られているか?」「自衛権行使の基準は何か?」「集団的安全保障は今後も有効か?」「安保理の常任理事国拡大案をどう考えるか?」「国内での分裂(内戦等)に国際法は介入できるか?」といった本質に迫る鋭い直球の質問が投げかけられ、講師の先生からはズバリ直球の学説の最前線の回答が投げ返されました。知的関心に満ちあふれたすてきな学びの時間でした。