中3の生徒が鑑賞しました。1985年、大不況にあえぐアイルランドの首都ダブリンを舞台に、
家庭にも学校にも居場所を見つけることのできない14歳の主人公が、恋や音楽に次第にのめりこんでいく姿を、
80年代のヒットナンバーに乗せて描いています。
【注意】鑑賞文は時に映画の重要な内容や結末に触れる場合がありますので、お気を付け下さい。
中学3年 T君
僕がこの映画で心が動かされた場面は、主人公が兄に「お前は俺の切り開いた道を通ってきた」と言われている場面です。
僕は末っ子なので、「切り開いた道」という言葉を聞いた時に、自分もその道を辿るようにして生きてきたことを思い知らされました。
両親や兄姉のしていることを真似して、上手く物事が進んでいくことを当たり前とするように生きてきた面が僕にはあります。
その意識自体を僕は悪いこととは考えていないし、むしろ良いことであると考えています。
ですが一方で、「切り開く」側の人間も大勢いて、その人達が苦労をしている現実を僕は軽く見ていました。
僕もいつかは、自ら新しい道を切り開くような立場になるということを考えつつ、先人の知恵に感謝することが大切なことであると思いました。
主人公は、バンド活動や恋愛を通じて作詞の才能を磨き上げたり、嘲笑されても彼自身の考えを曲げない心の強さを確立したりできました。
その結果彼は、兄を越える、音楽での表現力を身につけることができました。
「切り開く」側の人間になったのです。恋愛とバンド活動は、どちらも自分と相手(仲間)との触れ合い、価値観の共有が必ず行われます。
このことが、他人とは違う個性を生んでいくのだと、映画を見て実感できました。
主人公は兄の「カバーバンドはやめろ」という知恵と、バンド仲間そして恋人との価値観の共有によって彼自身の道を開拓していきました。
主人公のように、すでに出来ている道を辿る生き方から道を作っていく生き方へ変えていきたいです。