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「世界に目を向けよう!ストリートチルドレン」

2015/06/22

 先週末の土曜講座の日。早稲田大学3年・BICPJ代表の原貫太さんを招き、土曜講座「世界に目を向けよう!ストリートチルドレン」が開講されました。

 考え、意見を伝えることの大切さを学ぼう。世界の問題に対して理解を深めると同時に今自分がおかれている環境に対し自覚を持とう。この二つが今日の講座の目的だと講師の原貫太さんが語ります。
 原さんは本校の卒業生で、現在、早稲田大学文学部の3年生です。詳しく自己紹介をしてくれました。在学中は水泳部のエースでインターハイにも出場しています。好きな言葉は文武両道だったといいます。その言葉通り、部活動でも学業でも頑張った先輩です。英語の先生になろうと文学部に進みましたが、大学で学ぶうちに国際協力に関心を持つようになりました。今の彼の活動の出発点になった"人生の転機"はフィリピン・スタディーツアーへの参加でした。そこで出会ったストリートチルドレン問題に衝撃を受けます。これがきっかけとなって仲間と共に学生NGO「バングラデシュ国際協力隊」を創設し、代表を務めています。これまで2回バングラデシュを訪れ様々な活動を行っています。
 今日の講座は生徒がディスカッションをして自分たちの意見を発表しながら進められていきます。

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 ダッカの街で地面に寝ている2人の少年の写真、ゴミ袋からゴミを引っ張り出している少年の動画、地面に横たわるやせ細った少年の脇にお金の入った器がある、このような写真を見ながら子どもたちの置かれた状況を考えました。
 世界には1億~1億5千万人のストリートチルドレンがいると言われ、その数は世界の子ども人口のおよそ8.4%にあたるのだそうです。
 なぜストリートチルドレンが生まれてしまうのか、その背景も考えました。貧困の悪循環、社会保障制度の不備、親の失業や虐待などが生徒から意見として発表されます。生徒の着眼点が光ります。
 ストリートチルドレンがこれから直面するかもしれない問題やリスクは何だろうということについても考えました。病気、犯罪、人身売買、成人するまで生きられないのではといった声があがります。
 原さんが自分が出会ったストリートチルドレンのことを語ります。シャゴール君(12歳)は虐待から逃れ家出をして路上生活をするようになりました。1日働いて70円から130円を稼ぎ、ぎりぎりの生活をしています。ミロン君(10歳)は駅でゴミ拾いをする生活です。ゴミを集め、まとまったら回収業者に売り、子どもたちだけで生活しています。人が多く集まる霊廟の一角に横たわる少年はポリオにかかり全身マヒです。物乞いをさせられているのです。
 最後に原さんから出されたテーマは、ストリートチルドレンと君たちの、同じところ・違うところを考えてみようというものでした。地球に生きる同じ人間で、生きたいという思いは同じはずなのに、彼らは子どもとして生きていない、住む家がなく、教育を受けられず、常に危険にさらされている、といった意見が出ました。
 原さんは最後に、「理解」と「自覚」という二つのキーワードについて語りました。まさにこの瞬間も働いている子がいる、少年兵としての訓練を受けている子がいる、世界のそんな現実を「理解」することが大切だ、その理解の上に立って、僕たちは何を考え何のために生きていくかを考える、他者への「理解」と自分が置かれている環境への「自覚」、この二つを大切にしてほしい。これが原さんから生徒たちへのメッセージです。
世界に目が開かれる、充実した学びのひと時でした。

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<生徒の感想文より>
「今日の講座でストリートチルドレン問題を知ることができ、世界に目を向けることができました。」(中2)
「とても分かりやすかった。これから一生懸命勉強することで将来、彼ら彼女らの力になりたい。」(中2)
「大学生や大人になって機会があったら、積極的に原さんのような活動に参加したい。」(中1)
「僕は意見を考えたり発表したりするのが苦手でしたが少し自信が持てました。」(中2)
「ストリートチルドレンの子たちがどのような気持ちなのかを知りたくなった。」(中3)
「写真や動画を見たり、ディスカッションを行うことで、自分が今どれだけ幸せな環境で暮らせているかを実感した。学校で色々なことを学んで、世界の問題に目を向けていきたい。」(中3)
「こうした実情をできる限り多くの人々に伝えていくことを私もやっていこうと思いました。」(高1)

 


<在校生へのメッセージ>
世界に目を向けてみると、君と同じくらいの子、時には君よりもずっと年下の子が、路上で暮らしていたり、勉強してみたくても学校に通えなかったり、食べるものが無くて飢餓に苦しんでいたりします。
今まさにこの瞬間も、"その子"は生きています。君と同じように、毎日を生きています。
そんな現実が、嘘偽りなく存在している時、君は何を考えるでしょうか。いや、何を考えるべきでしょうか。
逗子開成での6年間。勉強・部活・学校行事・遊び...様々な学びを通して、君の生きる「世界」を「理解」してください。同時に、今自分が置かれている環境に、「自覚」を持てる人間になってください。
応援しています。         原貫太

<原さんの活動は以下をご覧下さい>

http://bicp.jimdo.com/

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