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3月の映画 「レ・ミゼラブル」

2013/03/12

 小学生のころ、図書館で借りた「ああ無情」の物語を夢中になって読んだ。ジャン・バルジャンに次々と降りかかる運命の苛酷さに、時代背景も、大人社会の事情も、何も分から
なかったけれど、読み終わって激しい怒りの感情に駆られたことを、今でも憶えている。
 19世紀前半のフランスが舞台。フランス革命後に訪れた産業革命により、都市化と工業化が急速に推し進められ、富める資本家と低賃金で雇われる労働者との貧富の格差が大きくなっていった時代。
 主人公のジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、貧しさにあえぐ子どもたちのために、たった1本のパンを盗んでしまい、逮捕、投獄され、その後19年もの長きにわたり監獄生活を送ることになる。
 監督官のジャベール(ラッセル・クロウ)から仮釈放されたバルジャンの心は、労役に打ちひしがれ、抜け殻のようになっていた。教会の司教が手を差し伸べるのだが、バルジャンは銀の食器を盗んでしまう。それでも、広やかな司教の心に許されたことで、はじめて自分を取り戻すバルジャン。その後は事業を興して身を立て、その人徳からやがて市長の地位にまで上りつめる。彼の人生は好転したかに見えた。
 ある時、ファンテーヌという娼婦(アン・ハサウェイ)と出会い、その窮地を救った彼は、里親のもとで虐げられている彼女の娘コゼット(アマンダ・セイフライド)の救出をも約束する。しかし、バルジャンに危機が襲う。仮釈放の身の彼に逮捕状が出され、まったくの別人が誤認逮捕されてしまったのだ。正直に名乗り出たバルジャンだったが、服役すればファンテーヌとの約束を守ることができなくなってしまう。バルジャンの逮捕を目指すジャベールの追手を逃れ、彼はコゼットに会いにゆくことにする。そして、運命の糸は、さらにもつれ、からまりあってゆく。
 ミュージカル映画の日本での興行収入が、「オペラ座の怪人」を抜き、現在も最高記録を更新し続けている「レ・ミゼラブル」。大河ロマンと呼ぶにふさわしいジャン・バルジャンの壮大なドラマを、美しいメロディーと歌声、そして俳優たちの素晴らしい演技で綴ってゆく。
 シネマ倶楽部として最後の上映となるこの話題作を、どうぞ徳間記念ホールでご覧ください。スタッフ一同心からお待ちいたしております。
(トム・フーパー監督作品/2012年イギリス/2時間38分)

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