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11月の映画 「テルマエ・ロマエ」

2012/11/09

 古代ローマ帝国は「浴場都市」(?)と言ってもいいくらい、公衆浴場(テルマエ)がけっこうあったそうだ。日本の「浮世風呂」ではないけれど、古代ローマでも風呂場談議や裸の付き合いはあったのかもしれない。

 主人公の古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、職人肌で生真面目な性格が災いしてクビになってしまうのだが、ひょんなことから、我ら日本が誇る公衆浴場、そう、現代の「銭湯」にタイムスリップすることになる。そこで彼は日本の風呂文化の奥深さに触れ、すっかり魅入られてしまうのだ。

このすばらしい風呂を、なんとか我がローマの人びとにも味わってもらいたい。ルシウスは、過密スケジュールで世界を渡り歩くエリート・ビジネスマンのように、古代ローマと現代日本を行き来して、日本の風呂文化を、ローマのテルマエの中に取り入れようとして奮闘するフだった。 やがて、押しも押されぬ技師となった彼に、皇帝ハドリアヌス(市村正親)から浴場設計の依頼がくる。そして......。

 物語は、その後、時空を超えてしまってもう大変なことになってゆくが、そこは見てのお楽しみ。漫画大賞ほか多くの賞を受賞したヤマザキマリの原作はアニメ化されたが、今回、俳優の問題や古代ローマの再現、エキストラの多さなどで「不可能」(!)と言われていた実写版が完成した。

 ローマの人びとを、阿部寛ら、すべて日本の彫りの深い、「濃い」顔の俳優陣が演じているのが大きな見どころ。イタリアでの巨大セットによる撮影や1000人のエキストラを動員した迫力ある映像など、大型歴史大河もかくや、と思わせる出来ばえなのだ。奇想天外な壮大なお話を、これだけ大真面目に映像化した日本映画の実力と、懐の深さに拍手! ぜひ、徳間記念ホールの大画面で味わってください。


(武内英樹監督作品/2012年東宝/1時間48分)  

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